さて、みなさんは仕事に関する事が原因で鬱になった事はあるだろうか?
私は過去に仕事の悩みから鬱を引き起こした経験がある。
さいわいなことに私は、重症になる手間で鬱を抜け出せたのだが、当時の私がどうして鬱になったのか、何が原因で精神状態を悪化させてしまったのかについて書きたいと思う。
私の経験上、仕事の不安や恐怖に追い詰められてしまっている人間は、自分の状態を正しく把握することができず、気付かないまま泥沼へと足を踏み入れてしまう。
この記事が、毎日の仕事に不安や恐怖を感じている人が、今の自分の状態を客観的に見つめなおすキッカケになって欲しいと思う。
仕事が出来ないのは自分が悪いと思い込んでしまう
以前に私は「人には向き不向きがあり、適正がない事はいくら努力しても出来ない」という趣旨の記事を書いたことがあるのだが、私は過去に、キャリア形成で悩んだ末、転職して営業職に就いた事があったのだが、結論からいえば、その転職は大失敗だった。
それまで技術職に近い仕事ばかりやっていて、営業なんてしたこともなかったけれど、当時の私は、頑張ればどんな仕事にだって適応することができると思い込んでいたのだ。
(自分の適正を分析し理解しておけば、この転職は失敗すると予想できただろうに…)
そのとき、新しい営業という仕事をただ必死に頑張ろうとしていた私は、仕事が出来ないことへの焦りに毎日苦しめられていた。
客先に出向いて不慣れな御用聞きをするも上手くいかず。
抱えたタスクを消化できないまま、毎日残業をした。
「上手くできない、仕事が終わらない…」仕事中はじっとりとした汗が全身にまとわりつくような、嫌な感覚に襲われていた。
焦りのせいで頭が上手く働かず、小さなミスを頻発するようになった。
不安と焦りが正常な思考を妨げる
ちなみに、そのとき在籍していた会社は、ご多分に漏れずブラック零細企業であり、社員教育などは全くなかった。
未経験の新人でもロクに引き継ぎもされない状態でいきなり取引先に放り出された。
適正云々の前に会社にも大きく問題があった事は確かだが、それでも当時の私は上手く行かないのは自分が悪いのだと思い込み、毎日深夜まで残業をしては終わる見込みのない仕事に絶望していた。
上司に相談しても「私にはこの仕事が失敗するとは思えない、君がなんとかしなさい」というありがたいお言葉を賜るだけだ。私には社内で頼れるものがなかった。
そうなると、もう会社に行く事が怖くなってしまう。
何故なら、この先には失敗という暗い未来しか見えないからだ。
「いま私は将来起こるであろう不幸な出来事に向かって進んでいるのだ」と思うと恐怖で吐き気が止まらなかった。
客観的に考えれば、この段階で私は精神的にも肉体的にも健康な状態ではないことぐらいわかるものだが、追い詰められていた私は「自分がおかしくなっている」なんて考えることもできなかったのだ。
周囲から無能だと思われることが怖い
仕事が上手くいかないとき、周りの人は自分のことをどんな目で見ているのかということが気になってしまう。
もしかしたら「あいつは無能だ」と陰口を叩かれているのではないか?
表には出さないが皆んなが自分のことを悪く言っているのではないだろうか?
仕事が上手くいかずネガティブ思考になっているせいで、悪い考えしか浮かばなくなっていた。
そうすると、会社の同僚と話していても「きっとこの人は心の中で自分のことを悪く言っているのだ」という被害妄想にとりつかれしまった。
本当はそんなことないとしても、周りの人が敵のように思えてしまい、余計に一人で抱え込んでしまったことで、誰かに相談することもできなくなってしまったのだ。
失敗の責任を全て自分が負わされてしまうかもという不安
仕事が終わらない不安と焦り、毎日のストレスにより精神はどんどん弱っていった。
そうすると思考はどんどんネガティブになっていき「この案件が頓挫したら怒られるだけではすまない。とんでもない額の賠償請求をされてしまうのではないか?」という考えをするようになってしまった。
よくよく考えれば、そんなものは管理者が責任を取るもので、私が会社をクビになることはあっても賠償する責任など何処にもない。
本当に最悪のブラック企業では従業員に損害賠償を請求するなどというふざけた真似をするところもあるようだが、それこそ不当訴訟で払いのけられる。
むしろ、そんな事をすれば会社にとっては余計な損失にしかならない。
普通に考えればあり得ない事だったが、完全にネガティブ思考に陥っていた私には、そんな簡単な判断すらできなくなっていたのだ。
ブラック企業の恐ろしいところは、過酷な状況下に置かれた人は正常な判断力を失ってしまうことだ。
当事者は自分がおかしくなっていることに気づかず、後に客観的な目で振り返ってみれば、やはりどう考えてもあのときの自分は、精神的に追い詰められておかしくなっていたのだと思う。
深刻なストレスは精神だけではなく肉体にも悪影響を及ぼす
会社に行きたくないと思いつづける毎日の中で、ある日、ふと手首を見ると、まるで蚊に刺されたような腫れができていた。
その時はただの虫刺されだと思って気にしていなかったが、気がつくと小さな腫れが増えていて、最後は合体して大きな腫れになっていた!
それはストレスによる蕁麻疹だったのだ。
ゾッとするのと同時に、「このままでは私は駄目になってしまう……」と思った。
目に見える異変が体に現れたことで、状況のやばさを感じたのだ。
暗闇から抜け出すには会社を辞めるしかないと気づいた!
結局、結論は「会社を辞める」ということだった。
鬱の根本を取り除くにはいちばん手っ取り早く確実である。
「辞めたいけど会社が辞めさせてくれない」とか、そんなの、やり方などはいくらでもある。
ちなみに、私より後に入社して、私より先に会社をバックレた「Aさん」の辞め方は見事だった。
当時Aさんも、私と同様に無茶な案件を押し付けらたせいで疲れ果てていた。
そしてある日、Aさんは始業時刻になっても出社してこなかった。
どうしたのだろうかと思っていると、会社にAさんから電話が掛かってきた。
この時、電話に出たのは別の社員で、私は又聞きでそれを伝えられたのだが、Aさんは電話でこう言ったそうだ。
「病院で鬱病と診断されました。診断書もあります。もう会社には行けません、辞めます」
その後、Aさんから配達証明付きで退職届けと鬱病の診断書のコピーが会社宛に送りつけられてきたのである。
よく、「会社が退職願いを受理してくれない」とかいう話があるが、社員には会社を辞める権利があり、会社側にはそれは引き止める事はできないのだ。
配達証明で受け取った段階で会社は彼から退職届を受け取った事になるので、会社が退職届を受け取っていないと嘘つく事もできなくなる。
本来ならやめる1ヶ月前に退職申請をしなければいけないところを、彼は鬱病の診断書があるから出社しないという技を使っているのがテクニカルだ。
しかしAさんは置き土産代わりに、私のデスクにこっそり自分が放棄した案件の書類を忍ばせてバックレやがった!彼がとんだロクでなし野郎だったのは確かである。
ちなみにAさんはその後すぐに携帯を解約してしまい電話も繋がらなくなった。
退職できず困ったときは機関に相談することも考慮しよう
このAさんの話は極端な例であり、多くの会社では就業規則に退職するときは1ヶ月以上前(就業規則は会社によって異なる)に申請する旨が書かれているはずだ。
変な話だが、民法では退職申請は「2週間前」でOKとされているのに、それとは別に就業規則でも期間が定められている。
どちらが優先されるかといえば、それは当然民法であり、2週間前に退職届けを出せば法的にはなんの問題もなく辞められる。
しかし、会社とのトラブルを避けるためには就業規則に則って退職手続きをしたほうが無難と言える。
会社を辞めた後には「離職票や資格喪失証明書など」離職手続きに必要な書類を退職した会社から郵送してもらう必要があるため、遺恨を残すと後で連絡を取るのがとても気まずい。
だからなるべく準備万端で穏便に辞めれるにこしたことはないのだが、ブラック企業なんてそもそもまとまじゃないのだから、まともな辞め方なんてしていられない場合もあるのも困りものだ。
結局はケースバイケースになってしまい、悪質な会社で働いていて、自分だけではどうすればいいか分からないという人は、しかるべき機関に相談をしよう。
自分一人で悩まず、その道のプロから助言をもらうことで、状況を打破してほしい。
鬱になってしまったなら焦らず療養する
転職に失敗して鬱になった私は、どうにか会社を辞めたあとも、不安はしばらく私の心に絡みついたまま離れてくれず、不安定な精神状態が続いた。
それから2カ月ぐらい経過したころ、ようやく恐怖も薄れ平常な精神に戻ることができた。
しかし、一応の平常心は取り戻したものの、この苦い経験はトラウマとなり、それから長きに渡って私を苦しめ続けていく事になったのである。
一度染み付いた仕事に対する不安や恐怖はなかなか払拭できないものだが、無理して自分を奮い立たせても後から辛くなってしまう。
焦らず、ゆっくりと、心のケアをしていこう。
自分に合った働き方を見つける重要性
他の記事でも、なんだか私はアルバイトを推奨している気がするが、勘違いしないでほしいのは、私は「正社員にならなくてもいいよ!」と言っている訳ではないのだ。
逆に「正社員にならなきゃダメ!」と言ってるわけでもない。
どうやって仕事と向き合うかはひとそれぞれなのだから「自分が納得できる生き方をしよう!」と言いたいのだ。
「どうすれ自分らしく生きられるのか?」など簡単に答えが出る問題ではないが、いつかは自分の生き方を見つけ出さなければいけない。
しかし、鬱で潰れてしまってはそれすらもできない。
肝心なのは、まず「現状を安定させる」ことだ。
心が安定した上で次のステップに進む努力をすればよいと私は思っている。
世の中にはあまりにもブラック企業が多すぎて、そんな会社に関わってしまった為に人生でつまづいてしまう人も沢山いると思う。
しかしながら、それじゃあ一度でも失敗してしまったら人生再起不能なのか?
一回鬱になってしまったらもう駄目なのか?
そんなことはないハズである。
時間は掛かるかもしれないけれど、療養をして、苦い経験を元に次は失敗しないように計画して、一歩ずつ進んでいけばいいのだ。
人と同じ道ではなくても、人より歩は遅くても、自分の道を進む事さえできれば、それはどこかに繋がるものだと、私は強く信じている。
私と同じような経験をして苦しんだ人は、自分を不要に貶めるような考えを捨ててほしい。
できない事はできない、それでいいのだ。自分にできる精一杯を探していこう。
なんて、今回はいい感じに締めてみるのでしたとさ。
コメント
ぼんたさん、お久しぶりです。久しぶりにサイトを覗かせていただきました。
自分も仕事に対して漠然とした不安があるので、今回の記事にとても共感しました。また、業務だけでなく人間関係のストレスから、円形脱毛症や眩暈・動悸に悩まされていた時期もありました。何度か職場を変えても、業務内容以上に人間関係がうまくいかず(新入りで経験も少ない為、見下した言い方をされる)、つい感情的になって同僚や上司とやりあってしまうことも少なからずありました。
今の職場に入る前に、自分の性格等については理解していたつもりでしたが、やはり同僚や上司とトラブルになってしまうことが数回あって、「もう自分は何をやっても駄目なんだ…」と自信をなくしたこともありました。その時に、自分の気持ちと向き合い、不安や焦燥感があったのは、「この職場で認められたい」「上司や同僚に失望されたり、馬鹿にされたくない」と拘っていたからだと気が付きました。その気持ちに気付いてから、「無理して認められなくてもいいから、まずは自分の仕事や出来ることをしていこう…」と考えるようになり、ずっと気持ちが楽になりました。今のところ、何とか同じ職場で仕事を続けています。
ぼんたさんが仰るように、世間的な常識に囚われず、自分が働きやすい職場を探して転職することや、心身がぼろぼろなのに無理して働き続けるよりも、心身を守るために退職や休養をするという決断も、時には必要だと感じました。ありがとうございました。
まいどありがとうございマス。どこの職場でも必ず一つや二つの問題が生じるのは避けられない事なのかもですねぇ……その点、職場に自分を適応させようとする姿勢のチョコさんは偉いと思います。最近の私はもう引き金が軽くなりすぎて、ちょっとしたことで「だったら辞めてやるゼ!」という思考になりやすいのが問題デス。無理して体を壊すぐらいなら辞めたほうがいいけど、こらえ性がなさすぎて全然仕事が続かないというのもまた困りもの。まったく上手くいかない人生ですナ