ねえねえ、みんなは初詣に行くなら、神派? 仏派? わたしは仏派ぁ〜〜…………。
というわけでね。
普段から人との関わりを避け俗世から一歩引いた生活を心がけている私だけれど、新年の区切りとして初詣は近所のお寺に出向いてるのだ。
「えっ、初詣っていったら神社でしょ?」と言う人もいるかもしれないけれど、ぶっちゃけ日本の宗教観てハイブリッドだから、寺の境内には別の神様を祀った社もあるので神仏の両方に対応しているのがポイント。
日本のそういうイイとこ取りな文化、嫌いじゃないぜ!
さて、初詣に行くにあたって問題となるのが、やはりというか「他の参拝客」だ。
私は人間嫌いで、人混みなんて見るだけで反吐が出そうになるので、そこは気をつけなければならない。
普段は神社や寺になんて来ないくせに、こうやって初詣のときにだけ神や仏にあやかろうとするパンピー共はだいたい新年イベント絶頂期間の1月1日〜1月3日に集中するので、そこは避ける。
え? だったらお前は普段から寺で参拝してるのかって?
あったりまえYO。
むしろ寺は私にとってのヒーリングスポットなので、とりあえず人間のいない場所で心を落ち着けたいときは近所の寺に向かってダッシュしてますがなにか?
まあそんなわけで、私が今年の初詣に選んだのは、もう一般ピーポー共が来ないだろう1月5日の夕暮れ時、時間的に例えるなら、それはもう売れ残りしか残っていない閉店間際のスーパーのようなもの!
完璧! まさに完璧なチョイス!
私は自分の計画性に満悦しながら優雅な足取りで寺に向かいながら、人っこひとり居ない境内で心穏やかに新年の抱負なんかをキメちゃってる姿を想像していた。
そして立派な門をくぐっていざ境内にたどりついた!
―――人、おるやんけ……。
境内には1組の参拝客がお参りをしている姿があった。
くっそぉぉぉぉっ!! お前らアレだな! 閉店間際のスーパーで値引き品を狙うタイプのやつだな! 初詣なら三が日にちゃんと行っとけやボケどもがあああぁぁぁ!!!
私は心の中で眼前の参拝客に罵声を浴びせた。
しかし大丈夫だ。まだ慌てるような時間ではない。
私は心を落ち着けながら、前の参拝客が居なくなるのを待った。(かなり離れた場所からじっと様子を伺っていた)
そしてボケ共が消え失せたのを確認してから、やっと私は開放されている本堂へと向かった。
多少、予定外はあったけれど、これで心安らかにお参りができるというものだ。
私は賽銭箱に硬貨を放り、さて、それじゃあ新年の抱負でも語ろうかと意気込んだときだった――
――じじいが私の前を横切った。
――――ジジイが、私の、眼前を、歩いて、横切った。
何が起こったかわからない人のために、もう少し詳しく説明しよう。
私が賽銭箱の前に立って拝もうとしたとき、その奥にある本堂の縁側を、背広を着た老害じじいがヨタヨタと歩きながら私の目の前を横切ったのだ。
その瞬間、私は心の中でブチ切れた。
厳かな雰囲気の中で一人静かにゆったりとお参りしようとした計画を邪魔されたからだ。
説明しよう! 私は他人に自分の計画を少しでも邪魔をされるとブチ切れて癇癪を起こす習性を持つ生き物なのだ!
ひとがお参りしようとしてるときに、なに目の前を横切っとんじゃこのボケじいいいがあああああああああ!!!!!! 仏様の前を横切るなぼけええええええ!!!!!
というか、なんでお前は本堂に上がりこんでんじゃい!?
私の予想では、本堂から続いている境内の別館で、きっと新年会だかなんだかを催していて、暇を持て余したふぁっきん爺いがブラブラしてたのだろう。
いや、まあいいよ……ぶらぶらするのは別にいいよ、けどなぁ……
なんで私が参拝しようとしたときを狙ったかのように横切っとんじゃわれえええええ!!!!
もうこの時点で、心穏やかな初詣という計画は完全に頓挫した。
私の心を支配しているのは、怒りと怒りと怒りと怒りと怒りだけである。
それでも、それでもだ。本堂の豪華絢爛のキンキラキンに輝くお釈迦様が私のことを凝視しているのだから、なんとか参拝だけはしとかねばならないと思い、私はとりあえず深呼吸をして新年の抱負を語ろうと努力する。
(えーっと、あーっと、なんか、もう、人と関わりたくないです、あのじじいッ、ゴミがっ! いや、そうじゃなくて、もっと、こう、今年は心穏やかに生きたいと、フザケンナボケェッ! いや、もう、無理……人、無理……あの爺が悪いんです。全部あいつのせいなんです。あの老害に仏罰を与えてください。天誅! そう、天誅! あのじいいにてんちゅうおおおおおおおおお!!!)
なぜか私は、初詣で爺の天誅を願っていた。
(なんでだっ、こんなはずじゃなかったのに……!?)
毒づく私が、じじいの通り過ぎた先を見ると、さっきの爺が私の様子をチラチラと伺っていた。
どうやら元居た場所に帰りたいけど、私がお参りをしているのに気づいて、お参り中に横切ったらいけないよなぁ……みたいな気まずそうな顔をしていた。
だったら最初から本堂を横切ってじゃねえよふざけんなああああああああああああ!!!!
もうまともにお参りなんてできる精神状態ではなくなったので、私は諦めて後ろへ下がった。
すると老害はイソイソと、また私の前を横切って帰っていった。
ふぁああああああああっくううううう!!!!!
こうして私の初詣は終わったのだ。心の中には爺への怒りと憎しみとやり場のない衝動だけが残った。
私は怒りを抱えて走った。どこへ? ヒーリングスポットPart2の近所にある林の公園にだ!
小高い山の公園へと、むき出しの土を踏みしめながら階段を駆け上がり、夕日に照らされた木々に囲まれながら、周りに人がいないことを確認すると、私は怒りをぶつけるように、地面をなんども蹴りつけた。
そりゃあもう、地面の土が抉れるほどに、足が痺れるほどにだ!
こいつぁはたから見ればマジで不審者意外の何者でもないぜッ!
けどしょうがない! 行き場のない怒りの衝動はどうしようもなのである。
ほんの少しだけ怒りが発散され、息を荒くした私は、落ちてゆくオレンジ色の夕日を見つめながらこう思った。
なんでワシ、新年早々、こんなことしとるんじゃろ?
そして私は家に帰ると、発散しきれない怒りをエネルギーにしてこの記事を書いているのだ。負のぱぅわーとは凄まじいものだ。けど代価として私の心がどんどん磨耗していくぞッ☆
どうやら年が明けたところで、私には安息の日々は訪れないらしい。
次にお参りするときは、生まれ変わるなら「樹」になりたいと願おう。
人間マジ無理っすぅぅぅぅ。毎年ブレずに枝葉を生やして蕾をつける樹木さんまじリスペクトッすぅぅぅっ……みたいな感じで。
こんな私だが、とりあえずこのブログを読んでいる人は、心穏やかに新年を過ごせることを祈ってるぜい。
敬具
コメント
思い通りにいかないとキレてしまう感じなんですかね。
客観的に見るとヒドいですがわかります笑
自分だけの落ち度なら平気なんですけど、他人が絡むとすぐにキレれます。キレッキレです。
だからなるべく人と関わらないように生活してるわけなのです。